フリーウェイ給与と社会保険料の端数処理

「フリーウェイ経理Lite」という無料の会計ソフトが素晴らしくよかったと書いた。

その関連ソフトとして「フリーウェイ給与」という、これまた無料で使える給与ソフトがあるというのでインストールしてみた。今は、freeeの人事労務ソフトを使っている。一人会社で自分ひとりに役員報酬を払うだけなので、給与計算ソフトは全く必要ないのだが、会社設立時にはよくわからなかったので、会計ソフトと一緒に年間契約してしまった。

役員報酬というのは、定期同額が原則なので一年間報酬額が変わらない。社会保険料は、毎月年金事務所から送られてくる用紙に書いてある通り銀行引き落としで納めるだけなので、面倒なことは何一つない。ただし、社会保険料は労使折半なので、個人の給与から引かれる分と会社が負担する分の2つに分けられる。会計の帳簿づけのときに、天引きされる預り分と会社負担の法定福利費を正しく記帳しておく必要があるのだが、基本毎月変わらないので一度計算しておけばよいだけだ。あとは、年末調整だが、個人事業を廃業していないので、どうせ確定申告は別途やるので各種控除などはそちらでやればよい。要するに、一人会社なら給与ソフトなど無くたって困るわけではない。

ただ、社会保険料の記帳のときの金額計算や給与明細や源泉徴収票、年末調整関係の書類が自動でできれば手間が省けてありがたい。しかも、無料とあらばなおのこと使って損はない。という全くありがたいソフトが「フリーウェイ給与」だ。

「フリーウェイ給与」は「フリーウェイ経理Lite」と違ってオンラインのクラウドサービスになっている。登録するとIDとパスワードがメールされてくるので、ログインして使うことができる。給与ソフトなので色々その手の設定ができるようだが、自分に役員報酬を払うだけの場合は、基本給が固定で他の手当などは一切ないので、設定や入力も簡単だ。年末調整関係の各書類や賃金台帳や所得税徴収高計算書、社会保険の算定基礎届など社保関連の書類は一式出力できるようになっている。ありがたく使わせていただこう。

使い方メモ

使ってみての覚え書き。

  • 給与明細で、その月の分を新規作成したあとは、[編集]して[登録]する必要がある。
  • 介護保険料がfreeeと1円異なっていた。詳細は後述。

社会保険料の端数処理

そもそも社会保険料は、健康保険、介護保険(40~64歳)、厚生年金保険を個人から天引きした分と事業者負担分(労使折半)を事業者が支払う。あと、子ども・子育て拠出金を追加で事業者負担で支払うことになっている。

社会保険料は標準報酬月額に保険料率を掛けて算出されるのだが、1円未満の端数がでてくるため、端数処理を行う必要がある。

自分の場合は、役員報酬6万円なのでこの表によると(地域毎に異なる)、標準報酬月額は、58,000円で、40歳以上のため介護保険がプラスされるので、健康保険料の全額は6,884.6円、個人負担の折半額で3,442.3円である。厚生年金保険料もあるが、端数がでていないのでここでは置いておく。

端数処理の方法は、日本年金機構のホームページに書いてある通りなのだが、若干ややこしい。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20121026.html

まず、事業者が支払う保険料の端数処理は、

ただし、その合計額に1円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨てします(被保険者ごとに端数処理は行いません)。

とある。ここでは、6,884.6円の1円未満の端数は切り捨てて、6,884円となる。実際、毎月送られてくる通知書にはこの金額が書いてある。

次に、個人(被保険者)が支払う保険料は、①控除するか②直接現金で支払うかによって端数処理の方法が異なり、①控除する場合は、

被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。

となる。一方、②現金で支払う場合は、

被保険者負担分の端数が50銭未満の場合は切り捨て、50銭以上の場合は切り上げて1円となります。

となっている。銀行振込で控除(天引き)する場合は、①の方法となり、3,442円が個人が支払う健康保険料の総額(健康保険料+介護保険料)となる。毎月の会計処理のときに、この個人支払いの分を預り金として役員報酬から天引きすることになる。

で、ややこしいのはここからで、介護保険料と健康保険料の内訳が給与ソフトによって微妙に違うのだ。

freeeの労務ソフトでは、この場合の介護保険料は502円となっている。一方、フリーウェイ給与では501円となっており、1円異なっている。これは、おそらく介護保険料と健康保険料のどちらを先に端数処理するかによって異なってくると思われる。つまり、ソフト上の仕様によるのではないかと考えられる。

介護保険料は、保険料率1.73%なので、そのまま計算すると

全額:58,000円×1.73%=1003.4円
折半額:58,000円×1.73%÷2=501.7円

となる。なお、介護保険を含まない健康保険料は、10.14%の保険料率で、

全額:58,000円×10.14%=5881.2円
折半額:58,000円×10.14%÷2=2940.6円

となる。

おそらく、freeeでは、この折半額を先に端数処理して、502円としている。個人負担の総額は、上記のとおり3,442円なので、内訳は、

個人負担の総額:3,442円
介護保険料:502円
健康保険料:2,940円(=総額―介護保険料)

がfreeeの明細となっている。

一方、フリーウェイ給与では、介護保険を含まない健康保険料を先に端数処理して、2,941円とし、総額から引いて介護保険を算出していると思われる。

個人負担の総額:3,442円
健康保険料:2,941円
介護保険料:501円(=総額―健康保険料)

天引きされる総額はどちらも変わらないし、年金事務所に納める額も変わらないので大した問題ではないのだが、このあたりの正確な決まりはないのだろうか。調べても見つけられなかったのだが、そもそも端数処理の方法自体が、

事業主と被保険者の間で特約がある場合には、特約に基づき端数処理をすることができます。

と注があるとおり、好きにしてOKということらしいので、目くじら立てることはないグレーな領域ということなのだ。

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