半径1メートル起業

最近コロナの影響でイベントごとがあると、たいがいオンラインで視聴できるようになった。ビジネス関連のピッチイベントなんかも、ちょっと前までは会場に足を運んで参加しなくてはいけなかったけれど、このご時世ではオンライン参加というのが普通にできるようになって、ちょこちょこ聴講している。

先日も、とあるスタートアップのピッチイベントを聴講した。自分が実際に会社をやめて起業するまでは、こういうのに参加するとモチベーションが上がって、なんだかワクワクしたりしたのだけれど、どうも最近は「なんだかなあ」と思うようになってきた。

いわゆるそういうイベントで発表しているスタートアップの会社というのは、ちゃんとした事業で資金調達して、もう見るからに住む世界が違うというか考えてることが大々的に感じられる。それに引き換えこっちは、自分ひとりでひっそりと、実に小規模で、資金もなく、営業したくもなく、それでも何とか生活できるくらいは稼ぎたいと思っている起業家なのだ。

要するに、半径1mの範囲で、こじんまり仕事をしていたいという、ある種の欲望で生きている。もともと、子供のころから人とコミュニケーションをとるのは好きじゃなく、人と遊びにいったりするのは大嫌いで、ひとりで行動したいタイプだった。それでも、会社に入ってからは、多少の部下も持ったし、チームマネジメントが面白いと感じる時期もあったが、どうもそれは本心じゃなかったようで、最終的にはサラリーマンに嫌気がさし、会社をやめてしまった。

今は誰からも何も言われることもなく、上司もいなけりゃ部下もいない一人会社という環境にいる。そもそも人と話すのが好きじゃないので、営業するのも嫌だし、頭を下げて商品を売ってしまうと、結局顧客が上、こちらが下となってしまう。もっとも、そんなことは割り切ってお金のことだけ考えて我慢しとけばよいのだけれど、どうもお客様のために尽くしてしまい(というか自分ができないとかマイナス評価を受けるのがすこぶる嫌なので)ストレスを抱えて、夜眠れなくなってしまうという悪循環に陥ってしまうのだ。

だから営業しないと決めてやっている(えらそうに言うことではないが)。営業は、こつこつと作っているホームページとクラウドソーシング系サイトのみとなる。だから実入りが少ないのだけれど、ストレスはほとんどなく、快調な毎日をおくっている。そのうち貯金がつきてくるとどうするか考えないといけないのだけれど、まあそれまでは細々やっていくと何かあるんじゃないだろうかと考えている。

つまり、こんな半径1メートルの世界で起業している自分にとっては、ああいうスタートアップの人の話を聞いてもあまり役にたたないし、逆に気が滅入るなあという感じなのだ。そのイベントで、某クラウドサービス系の社長さんが、「風上に立ってものを見る」という話をしていた。風上とは、東京の六本木界隈に住んでいて、そういうサービスを立ち上げていく側の人たちのこと。そういう人たちとの付き合いが大事なのだとか。もう、それこそ住む世界が違うなと思ってしまい、モチベーションもあがらない。

こちらは、風下側の人間なのだ。といっても別に卑屈に思うことも何もないし、別に風上に立ちたいとも思わない。億なんていう資金調達もなければ、上場も考えないし、六本木にオフィスを持とうなどとこれっぽっちも思わない。こじんまりと半径1mのこの部屋で、スモールにマイクロに仕事ができればよいのだ。お金が入って来なければ困るのだけれど、そのうち何かいいことがあるかなあと、楽天的に考えるようにしている。

と思っていたら、うちのホームページを見てくれる人もいるもので、そこから問い合わせがあり仕事を頂けそうだ。大きな企業様なのだが、なんともありがたい限りである。半径1メートル起業も捨てたものじゃないかなと思う今日このごろである。

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