工場の安全性とテレビの違和感

NHKでとあるお笑い芸人さんたちが工場に訪問し、その工場を紹介するという番組をやっている。その番組自体の趣旨はとってもよいと思うし、自分たちが普段使っているモノがどのようなところで作られているのかを知ることは大切なことだろう。

ところが、その番組を見るととても疲れるのだ。なぜだろうと考えると、その演出にとっても違和感を感じるからなのだ。

私は工場で実際に働いたことはないのだけれど、仕事上いろいろな会社の工場を見学させていただいた経験がある。いわゆる大企業の工場にもお邪魔させていただいて、モノが作られる様子を見させていただいた。

工場で働いたり、工場を持っている会社で働いている人はわかると思うが、工場というのはとっても厳しい安全管理が行われている。歩いてよい場所も決まっているし、このときにはこの動作をしなければならないとか、逆にこのときにはこの動作をしてはならないとか、細かいルールがいろいろ決められている。

これは当然安全性のためで、少しでも事故(というほどではない擦り傷でも)があると、なぜそのようなことになったか事細かに分析され、二度とそのようなことが起こらないよう注意される。傍から見ていると異常なまでに厳しく思われることもあるが、それが人の命を守るということにつながるのだ。

で、その番組である。出演者はお笑いの人たち。当然笑いをとるため、様々な笑いを誘うことをする。ところが、工場というところは上記のように厳しいルールがあるため、この笑いは単なる悪ふざけにしか思えなくなる。もちろんテレビ番組なので安全性には配慮されているのだろうけれど、見ているこちらはとてもハラハラして非常に疲れるのだ。これが従業員だとすると、この悪ふざけはたちどころに吊るし上げられ処罰されるだろう。

工場に少しでも関係した人たちであれば、このハラハラ感がわかるのではないかと思う。出演者の芸人さんたちは好きだし、番組の趣旨はとってもよいと思うのだけれど、たぶん番組の製作者が工場とは無縁の人たちだったのではないだろうか。ちょっと演出を変えてみて、見ていて疲れない番組にしてもらえたらずいぶんよいのにと思う今日このごろである。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク