辞める人に理由は聞かない

最近、ある組織を辞める人に関わることがあったので、昔を思い出した。

昔、サラリーマンをやっていたときに、ちょっとした規模の部署のマネージャをやっていたことがある。組織のマネージャなんかになると、会社を辞めるという部下を何人も見てきた。たいがい、突然話があると言われ、別室で話を聞くと、「会社を辞めます」という。この時の対処は、

  • 形式的になんで辞めるの?と聞く(あくまで形式的にさらっと)
  • 辞めるのは残念だという(本当にそう思うなら)
  • 笑って「今までありがとう。今後は新天地で頑張って」とねぎらう

とあっさりと済ませる。これは、私の昔の上司から教わったものだ。決して、どうして辞めるんだとしつこく聞いたり、辞めるなと逆ギレしたり、必要以上に引き止めたりしてはいけない。

辞める人の理由は千差万別であるが、大概聞くと「家業を継ぐから」というのが意外と多い。これは転職(同業他社に)するときの決まり文句で、全くあてにならない。あとは、人間関係などあるが、これも根堀葉掘り詮索してはいけない。なぜなら、人間関係で辞める理由の多くは、かくいう上司自身が嫌いというものだからだ。なかには「お前が嫌いだからだよ」というやつもいるかもしれないが、普通の人はさすがに面と向かってそんなことは言わずに、適当な理由をつけて辞めていく。つまり、辞める理由を聞いても本当の胸のうちはわからないのである。

で、その人も組織のトップに、最初は真面目にある理由を説明していたのだが、根堀葉掘り理由を深掘りされ、理由は言いたくないから、辞めさせてくれと言ったら、逆ギレされたらしい。まったく人間のなっていないトップである。理由なんて本当のことはわからないし、辞める方も色々悩んで出した結論だ。今更、引き止めてもしょうがないし、理由を聞いたところでどうなるものでもない。

トップたるもの、この人が辞めるのは自分に人徳がないからだと謙虚な姿勢で、「今まで組織のために頑張ってくれてありがとう、君の今後の人生がもっと良くなるよう期待しているよ。」といって、笑って送りだすだけでよいのである。

立つ鳥後を濁さずという格言は、実際に立つ方ではなく、鳥に立たれる側にこそ向けられる言葉なのだ。飼い犬に手を噛まれるのは、飼い犬のしっぽを踏んでしまったからなのだ。

まあ、こんなのに嫌気がさして自分の方から会社を辞めて、部下も上司もなく一人気ままになってしまった私が偉そうに言えた義理ではないのだけれど。。。

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