インボイスとは「適格請求書発行事業者」のみに与えられた特権中の特権であり、世の中で正々堂々とお金を請求できる由緒正しき請求書なのである。
昨年あたりから色々騒がれてきたが、もはやこれを取得しない手はないのである。このわたくしも晴れて「適格請求書」を発行できる「適格請求書発行事業者」となり、世の中をひれ伏させるのである。
私は2つあって、一つは会社、もうひとつは個人事業主。会社も個人事業主も超超零細事業なので、消費税免除事業者なのは言うまでもない。しかし、「適格請求書発行事業者」になるためには、消費税の課税事業となる必要がある。ただでさえ売上が少ないのに、そのうちの消費税分をお上にお納めしないといけなくなるとは、なんともやるせない気分ではあるが、納税こそ国民の義務とあっては、よろこんで課税事業者となってやろうではないかということなのだ。
会社での申請
インボイス登録は、2023年10月1日から。通常、課税事業者になるには、事業年度(当社の場合は、5月1日~翌年4月30日)の始めから開始なのであるが、特例があって、来年はインボイス登録日10月1日から課税事業者となることができる。しかし、期の途中で、消費税課税を行うのは経理の帳簿付けとしては面倒だ。なので、「消費税課税事業者選択届出書」というのを合わせて提出し、事業年度の始めである、2023年5月1日から課税事業者となることをあえて選択する。
また、当社はいわゆるコンサルタント的なサービス業のようなあやしげな、よくわからない商売で、仕入れにかかる経費とそれに付随する消費税はほとんどない。そこで、「消費税簡易課税制度選択届出書」を一緒に提出し、簡易課税を選択することにする。当社のようなサービス業は第5種事業に区分され、売り上げで頂いた消費税の50%がみなし仕入れ率となり差し引かれる。つまり、実質5%の消費税分を払えばよいことになる。経理も楽だしこれを忘れずに提出する。
結局提出した申請書類は、
- 適格請求書発行事業者の登録申請書
- 消費税課税事業者選択届出書
- 消費税簡易課税制度選択届出書
の3つ。
これをe-Taxで作成し、提出。
個人事業での申請
個人事業は正直インボイスであろうがなかろうがどっちでもよいレベルではあるのだが、まあいちおう申請だけはしておこう。ただし、こちらはあえて課税事業者を1月1日から選択するほどでもなく、経理もたかがしれているので、特例ということで10月1日からのインボイス登録と同時に課税事業者となる制度を利用する。
ただ、簡易課税制度選択届は提出しておく。
- 適格請求書発行事業者の登録申請書 → e-Tax(Web版)で提出
- 消費税簡易課税制度選択届出書 →e-Taxソフト(インストール版)で作成、提出
ところで、e-Tax(Web版)でマイナンバーカードでログインできるのだが、カードリーダーがなくてもスマホと連携してマイナンバーカードを読み取れるという優れたシステムになっていた。税金とるためには、すこぶる使い勝手がよくなっているというシステムに脱帽する。逆に、市民にお金を払う方では恐ろしく使いにくいシステムになっていることにも脱帽する。さすがお上である。うまく設計されている。
そういえば関係ない話だが、今年の夏ごろに騒がれていた「個人事業の売り上げが300万円以下は雑所得になる」という話は立ち消えになったようだ。まあ、売上300万円なんて人はたくさんいるだろうし(こちらはその足元のつま先にも及ばないけれど。。)、「副業を推奨している国の方針に反する!!!」なんて声をあげた人たちもいたようだ。巷ではとんだ増税さわぎにもなっているようであるが、もう税金ばかり釣り上げられても、実入りが少ないのでいかんともしがたいのですよ。
インボイスのおかげで、来年は大口の請求ができるようになるのを祈る今日この頃である。
追記
最近になって、「激変緩和措置」なるものが浮上してきた。「課税売上高1000万円以下の免税事業者が課税事業者になった場合、なんと消費税の納税額は、売上の消費税×20%を上限とする」というもの。
簡易課税制度だと、うちのような第5種サービス業の場合は、50%がみなし仕入れ率なので、これはありがたい。でも簡易課税を選択していた場合はどうなるのだろう?
まさか、簡易課税優先などというあくどいことにはならないだろうけど、税理士先生のブログを漁ってもこの辺りは書いてないので不明である。まあ、これからもどう方針が変わるかわからないので、なるようになれだ。
それにしてもまあ、防衛費の税金徴収だの、インボイスだの、闇金回収。。。もとい税金徴収業も何やかやと大変ですなあ。お上も、お金のない国民から取り立てないで、もうちょっとビッグビジネスを世界に展開し、国としてガッポガッポ儲かるような仕組みを作ればいいのに、利権で小銭稼ぐしか頭にない70過ぎたおじいちゃん連中にはそんなの無理だよなあ、なんてワイドショーのコメンテーターみたいな事を思っても始まらないけど、と思いながら売れない仕事をする今日この頃である。