【書籍】大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか

佐々木閑著『大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか』(NHK出版新書572)、NHK出版、2019年


大乗仏教―ブッダの教えはどこへ向かうのか (NHK出版新書 572)

おなじみ佐々木閑先生が、大乗仏教の起こりから主要宗派について解説する。あまりにも多様化した仏教。でもこれだから面白い。

ところで、本書で興味深かったのは最後の箇所。大乗起信論について、2017年に大竹晋氏が発表した研究により、諸説あった大乗起信論の成立は「中国で作られたパッチワークである」と文献学的に証明されたという。仏教学はあくまで学問であるので、このような科学的な研究によって、長年にわたる謎が解明されるのは素晴らしいことである。

読書メモ

  • 仏教は、すべての人を一人残らず幸せにするものである。したがって、社会問題に対する発言は慎むべき。→確かに昨今、僧侶であってもネットで誰彼の批判ばかりしている人が目につくけれど、批判の対象者をも幸せにするのが仏教であると考えると、これらの行ないは、どうなんだろうと思ってしまう。
  • 自殺者の受け入れシステム(現代版サンガ)をつくってはどうか。
  • 般若経:過去でブッダとあっている。誓いを立てている。
  • 法華経:久遠実成。ブッダは永遠の過去から存在。
  • 浄土教:極楽浄土。阿弥陀様。→異なる世界のブッダ
  • 華厳経・密教:毘盧遮那仏(宇宙仏)。一即多、多即一(フラクタル)。→梵我一如と同様
  • 大乗涅槃経・禅:ブッダは私の中にいる。→如来蔵思想
  • 回向→業のエネルギーを輪廻とは別の方向に向けること

 

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク