【書籍】ネットカルマ

佐々木閑著『ネットカルマ 邪悪なバーチャル世界からの脱出』(角川新書)、KADOKAWA、2018年


ネットカルマ 邪悪なバーチャル世界からの脱出 (角川新書)

「業」というのは、現代では忘れ去られようとしている概念であるけれど、まだ日本には「自業自得」というような感覚で残っている。仏教もしくは古代インド世界では業によって輪廻するというような世界観があった。ところが、現代になって、その業という概念が、再びありありと現実と化し、我々の身の回りに絡みつくようになっているという。それはインターネットによる。佐々木先生は「ネットカルマ」であると説く。苦しみには、新たにネットが加わり、「生老病死・インターネット」になっているという。

本来、業というのは自業自得というように、自分の行った行動の結果を自分が得るものであった。そして、悪いことをすれば苦が生じ、善い行いをすれば楽を得ることができる。それが、いつどのようにやってくるかはわからないけれど、自分の行ないにより、過不足なく正確に、結果が反映される。

ところが、ネットカルマは、それに他人の手が加わりいびつとなる。ちょっとネットに書き込んだ内容が、いかようにも、人の手によって増幅され、はたまた全く異なった情報となり拡散される。また、それはネットの中で、永遠に残ってしまう。つまり、自分の行ないが、世代を超えて子孫にまで何らかの影響を及ぼすということになる。本来の業では起こらなかった「親の因果が子に報う」という現象が、実際に起こってしまうという。

ではどうするか、佐々木先生曰く、①ネットの価値観から離れる、②自己鍛錬に人生の生きがいを見出す、ことだという。要はネットに依存したり、他人の言うことばかりに惑わされたりするなということであろう。これは正に、仏教的生き方となるのだろう。ダンマパダの一節にもある。

・他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ、自分のしたこととしなかったことだけを見よ。

・悪い友と交わるな。卑しい人と交わるな。善い友と交われ。尊い人と交われ。

(中村元訳「真理のことば」より)

他人の悪口や批判ばかりネットに書き込んでいたら、いつぞや「悪因苦果」となるのだろうな。

 

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