【書籍】仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』、新潮社、2015年

初期仏教からテーラワーダ仏教の視点で縁起から無我、解脱、涅槃まで解説する本。著者は仏教徒ではないが、ミャンマーのテーラワーダ仏教に学んでいる。本書もその視点で書かれている。

読書メモ

  • 仏教の「正しく生きる道」は現代の正しさとは違う
  • 仏教は労働と生殖を否定=異性とは目も合わせないニート
  • 仏教は「転迷開悟」を目指す宗教→衆生がその「癖」によって盲目的に行為し続けることを止めること
  • 脱善悪→仏教の本質
  • 無我:我=常一主宰の実体我
  • 形而上学的な問いに対しては、回答しない=無記→十無記
  • 自己を頼れ:自己=経験我=「縁起の法則にしたがって生成消滅を繰り返す諸要素の一時的な和合によって形成され、そこで感官からの情報が認知されることによって経験が成立する、ある流動し続ける場」→固体性
  • 無我だからこそ輪廻する→木村泰賢のモデル
    A-A’-A”’-An・・・anB-B’-B”-B”’-Bn・・・bnC-C’-
  • 輪廻=行為の作用とその結果・業による現象の継起。精神的と物質的プロセス(名色)が継起し続けること。生まれ変わるというだけではない。
  • 十八界←どれかを我であるとみなしたとき、形而上学的な認識につながる
    →六触処が残りなく離滅、滅尽した時、分別の相(戯論、形而上学的な認識)は滅尽、寂滅する=戯論寂滅
  • ブッダの悟り=三明(宿住随念智(過去生を思い出す)、衆生死生智、漏尽智)→推論の領域を超えたもの
  • 悟り→直覚知=瞬間的な実存のあり方の転換
  • 涅槃→縁生のものではない→常である・・・言葉で語ることは不可能
  • 寂滅為楽
  • 解脱、涅槃=仏教思想のゼロポイント
  • 慈悲喜⇔捨 → なぜ共存しているか?=仮象の問い。問い自体が成立しない。
  • 慈悲の実践のレベル→自由に選択できる
    大乗仏教→一切衆生
    ブッダ→機根のある衆生のみ
  • 「仏教」であることの判断基準=その教えの説者が「物語の世界」の外部の視野を自ら有しているかどうか
  • 仏教の多様性→本来性(不生不滅の出世間)と現実性(生成消滅の物語の世界)
  • テーラワーダの勝義=心、心所、色、涅槃
    世間諦(心、心所、色)、出世間諦(涅槃)=本来性
    世俗諦=現実性
  • 大乗仏教→本来性から現実性へ。本来性と現実性の差異をなくす。
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