どうも面倒くさがりなのです。書評というほどでもない感想文を書くのも億劫になり、一行感想文といたします。
自然科学
最新DNA研究が解き明かす。日本人の誕生
斎藤成也編、秀和システム、2020
冒頭はかなり専門的で、遺伝学の知識がないと理解できないかと思わせるが、他でも調べながら読み進めると面白い。ヒトゲノムの99%以上は他人と同じだというから、人類皆きょうだいとは言いえて妙というもの。また、琉球やアイヌの人が先住民的で、本土人はより混血的で大陸(韓国、中国)に近いという。感情論ではなく科学的な知見から日本人のルーツを知ると世界を見る目が変わる。
ロウソクの科学
ファラデー著、竹内敬人訳、岩波文庫、2010
言わずと知れたMichael Faraday大先生のクリスマス講演である。ロウソクが燃えるという現象のメカニズムを様々な実験を通して教えてくれる。この本ほど、活字による理解の難しさを痛感するものはない。この実験講演はぜひとも参加してこの目で見てみたいものだ。
人文科学
サピエンス全史
ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、河出書房新社、2016
ホモサピエンスは神話のような虚構を信ずる性質があったために発展した。宗教もイデオロギー思想も民主主義も平等主義も資本主義も貨幣経済も、ましてやインターネットやAIや何もかも実態のない虚構(神話)を我々は信じて生きている。仏教でいうところの戯論すなはち空である。いったいこの先はどうなることやら。。。
日本人として知っておきたい琉球・沖縄史
原口泉著、PHP新書 1311、2022
琉球・沖縄の古代から近現代までを概説。日本と中国の二重支配のなかで、日本の琉球支配が中国(明、清)に対して名目上は隠されていたというのは興味深い。地政学的にも大変重要な地だけに、悲しい現実が中世から現代にいたるまで起こってしまう。その中でも豊かな自然を背景に、独自の華やかな文化を築いてきた。
社会科学
台湾有事のシナリオ 日本の安全保障を検証する
森本敏、小原凡司編、ミネルヴァ書房、2022
台湾有事に対する日米中の行動の概観。第一列島線、第二列島線をベースとして見るとこの海域の重要性がよくわかる。ウクライナ戦前に書かれた本なので少し古い。いずれにしても、孫氏の兵法にもあるように、軍事衝突に至らないように努力することが一番重要。
随筆、エッセイ
1%の努力
ひろゆき著、ダイヤモンド社、2020
言わずと知れた論破王ひろゆき氏の本。ひろゆき氏の考え方はなんだか私に合ってるというか、嫌いじゃないのです。問題解決が生業なのだとか。
深夜特急
沢木耕太郎著、新潮文庫、1986
最近、海外旅行に行っていないので、無性に読みたくなって手に取った本。アジアからロンドンまでの旅に連れて行ってくれる。文庫本だと6冊分の世界旅行。
小説
安政五年の大脱走
五十嵐貴久著、幻冬舎文庫、2005
映画大脱走を彷彿とさせる時代劇。何とも奇想天外なラストが、なんとも心地よい。
新・水滸伝
吉川英治著、MUK production、2015
吉川英治の小説はもはやライフワークであります。吉川英治先生の小説ほど読みやすい小説は他にありません。さて、水滸伝は途中で未完なのでありますが、これはこれでよいのであります。こんな素晴らしい小説がKindleで99円で読めるとは、何とも素晴らしい今日この頃です。
ミステリー小説
幽霊塔
黒岩涙香著、青空文庫
ミステリーの古典。もとは、海外のミステリーを翻訳して小説にしたもの。設定は海外なのに日本人名だったり、とっても古い漢字で書かれていたり、最初はちょっと慣れるのに苦労しますが、古き良きミステリー。
洋風探偵もの。
すべてがFになる THE PERFECT INSIDER
森博嗣著、講談社文庫、1998
昔はミステリー(いわゆる本格と呼ばれるジャンル)ばかり読んでいたが、最近はとんと読まなくなった。娘がミステリーを読みたいというので、何冊か図書館で借りてきたうちの1冊。
私の大学卒業くらいの年に出版されたとあって、主人公はやたらめったら煙草を吸っている。昔のミステリーはみんな煙草を吸ってたなあ。もう読んでて煙たいくらいだが、最近はたばこを吸う人物もないんだろう。と、変なところで懐かしく感じたミステリー。
孤島、密室系。
ハサミ男
殊能将之著、講談社文庫、2002
チョキチョキチョキ、ハサミ男にまつわる一風変わった殺人劇。
一人称系。
変な家
雨穴著、飛鳥新社、2021
横溝正史ファンの私にとっては、おどろおどろしい因習譚は大好きなのです。
家系、因習系。
変な絵
雨穴著、双葉社、2022
絵にまつわる謎解き。現代的なサイコ系。
変な家2 ~11の間取り図~
雨穴著、飛鳥新社、2023
YouTubeの雨穴さんてかわいいお声ね。11も話があると記憶力の低下した私にとっては、なにがなんだか。でも最後はなあるほど。
家系。
世界でいちばん透きとおった物語
杉井光著、新潮社、2023
確かに電子書籍ではこうはいかないわね。謎を追っていく系。
ミステリーの定義:最初に謎が提示され、最後に謎が解き明かされるお話。殺人事件である必要はない。
シャーロック・ホームズの思い出
コナン・ドイル著、延原謙訳、新潮社、1989
もう何度も読んでいるけれど、再度読み返す。
探偵もの、元祖ミステリー系。
シャーロック・ホームズ最後の挨拶
コナン・ドイル著、延原謙訳、新潮社、1991
表題「最後の挨拶」はシリーズの中では少し違うテーストなのである。
探偵もの、元祖ミステリー系。
シャーロック・ホームズの叡智
コナン・ドイル著、延原謙訳、新潮社、1992
「叡智」というのは本家にはない短編集。
シャーロック・ホームズの冒険
コナン・ドイル著、延原謙訳、新潮社、2011
シリーズの中でも名作ぞろい。これぞシャーロック・ホームズ。
シャーロック・ホームズの事件簿
コナン・ドイル著、延原謙訳、新潮社、1991
シャーロキアンにしてキンダイチストたるものソア橋からの本陣殺人事件は感動せざるを得まい。
緋色の研究
コナン・ドイル著、延原謙訳、新潮社、2010
シャーロック・ホームズ最初の作品。長編。
長編と言ってもそれほど長くはないのだけれど、ホームズの短編に慣れていると、とても長く感じる。長編シリーズは、前編で事件、後編で過去の因縁が語られる二部構成がお決まりのパターン。ホームズシリーズではだいたい、アメリカからロンドンに流れてくると何か過去がある。