中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』(岩波文庫)、岩波書店、1978年
『真理のことば』は、『ダンマパダ(Dhammapada)』、『法句経』であり、もとはパーリ語で書かれた仏典。人間の思考や行動の指針が簡潔に書かれている。
『感興のことば』は、『ウダーナヴァルガ(Udānavarga)』であり、『真理のことば』とよく似ていて、同じ詩句が多く登場する。
読書メモ(気になった箇所や覚えておきたい文章など)
『真理のことば』
- ものごとは心にもとづき、心を主とし心によってつくり出される。
- 他人の過失を見るな。ただ自分のしたこととしなかったことを見よ。
- 愚かな人の章。愚かな者を道伴れにするな。
- 善い友と交われ、尊い人と交われ。
- 自己に打ち勝つ者こそ最上の勝利者。
- 怠けるな。
- 生けるものを殺すな。
- 荒々しいことばを言うな。報復が自分の身にいたる。
- 自己こそ自分の主である。
- 悪いことをするな。善いことをせよ。
- 仏法僧
- 四聖諦(苦集滅道)
- 愛する人をつくるな。
- 怒りを捨てよ。語(ことば)による悪い行ないを捨てて、語によって善行を行なえ。
- 世に非難されない者はいない。
- 心のよごれた者は生活し易い。真理を見て清く暮らす者は生活し難い。
- 他人の過失は見やすいけれども、自己の過失は見がたい。他人の過失を探し求め、つねに怒りたける人は、煩悩の汚れが増大する。
- 諸行無常、一切皆苦、諸法非我
- 仏、法、僧、身体、不傷害、瞑想
- 愚かな者を道伴れとするな。独りで行く方がよい。孤独で歩め。悪いことをするな。求めるところは、少なくあれ。
- 避けねばならぬことを避けなくてもよいと思い、避けてはならぬことを避けてもよいと考える人々は、邪な見解をいだいて、悪いところにおもむく。
- 自分をととのえよ。
- 全世界 欲界、色界、無色界
- 五蓋 貪欲、瞋恚、惛沈睡眠、掉挙悪作、疑
- 五下分結(煩悩、欲界) 貪、瞋恚、有身見、戒禁取見、疑
- 五上分結(色、無色界) 貪(色界)、貪、掉挙、慢、無明(無色界)
- 五根 信、精進、念、定、慧
- 五著 貪り、怒り、迷妄、高慢、誤った見解
『感興のことば』
※番号は、章番号。
- 諸行無常
- ・愛欲を捨てろ。
・欲望によっては満足することがないから、明らかな知慧をもって満足する方が優れている。 - 愛執(因)~執著(縁)
- ・つとめ励むのを楽しめ。怠りなまける人々は、つねに死んでいる。
・他人の妻になれ近づくな。←これは、他の経典にもよく出てくる。当時はそういうことがよっぽど多かったということか。 - ・愛するものをつくるな。
・自分を愛しいものだと知るならば、自分を悪と結び付けてはならない。
・それ故に、愛するものをつくってはならぬ。愛するものであるということはわざわいである。愛するものも憎むものも存在しない人々には、わずらいの絆は存在しない。
・どの方向に心でさがし求めてみても、自分よりもさらに愛しいものをどこにも見出さなかった。そのように、他人にとってもそれぞれの自己がいとしいのである。それ故に、自分のために他人を害してはならない。
・すべての者は暴力におびえている。すべての(生きもの)にとって生命が愛しい。己が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。 - 戒めを守れ。
- 身、語(ことば)、心によって善行を行なえ。身、語(ことば)、心を慎め。
- ・善いことばを口に出せ。悪いことばを口に出すな。
・すでに(他人が)悪いことばを発したならば、(言い返すために)それをさらに口にするな。(同じような悪口を)口にするならば悩まされる。聖者はこのように悪いことばを発することはない。愚かな者どもが(悪いことばを)発するからである。 - 自分の幸せだけをもとめる人々は、笑いながら悪いことをする。しかし、かれらはのちに苦しんで、泣きながらその報いを受ける。
- 信仰心あり明らかな知慧ある人とつき合え。
- ・頭髪が白くなったからとて〈長老〉なのではない。ただ年をとっただけならば「ばかになって老いぼれた人」と言われる。
・しかし福徳と罪悪とを捨て、清らかな行ないをなし、ひととの交わりを捨てて行じている人、-かれこそ〈長老〉とよばれる。 - 八正道、四諦、諸行無常、一切皆苦、空、諸法非我
- ・いかなることにもあくせくするな。他人の従者となるな。他人に依存して生活するな。法による商人として暮らすな。
・この(体)は、食べなければ生きてゆくことができない。食物は心胸を静かならしめるものではない。食物は身体を存続させるためのものである。そのことを知って、托鉢の行をおこなえ。 - ・実にこの世においては、およそ怨みに報いるに怨みを以てせば、ついに怨みの息むことがない。堪え忍ぶことによって、怨みは息む。これは永遠の真理である。
・怨みは怨みによっては決して静まらないであろう。怨みの状態は、怨みの無いことによって静まるであろう。怨みにつれて次々と現われることは、ためにならぬということが認められる。それ故にことわりを知る人は、怨みをつくらない。 - つねに目ざめておれ。
- ・未来になすべきことをあらかじめ心がけておくべきである。
・目的が達成されるまで、人は努めなければならぬ。
・情欲、怒り、迷妄、おごり高ぶり、貪り、愛執 = 人々の汚れ - 善を軽んずるな。悪を軽んずるな。
- ・事故の愛執を断ち切れ。
・他人の過去を見るなかれ。他人のなしたこととなさなかったことを見るなかれ。ただ自分の(なしたこととなさなかったこととについて)それが正しかったか正しくなかったかを、よく反省せよ。 - ・おのれ自らをととのえよ。
・実に自己は自分の主である。自己は自分の帰趣である。故に自分を制御せよ。-御者が良い馬を調練するように。 - ・怒りを捨てよ。
・他の人々の主である人が弱い人々を忍んでやるならば、それを最上の忍耐と呼ぶ。弱い人に対しては、つねに(同情して)忍んでやらねばならぬ。
・愚者は、荒々しいことばを語りながら、「自分が勝っているのだ」と考える。しかし誇りを忍ぶ人にこそ、常に勝利があるのだ、と言えよう。
・集会の中でも、また相互にも、怒ってことばを発してはならない。怒りに襲われた人は、自分の利益をさとらないのである。 - 仏の教えを信じない人々は、わざわいに遭うであろう。
- ・聞いて学ぶことは善い。
・耳で多くのことを聞き、眼で多くのことを見る。思慮ある人は、見たこと、聞いたことをすべて信じてはならない。 - ・自己にうち克つことは、他の人々に勝つことよりもすぐれている。
・たとい他人にとっていかに大事であろうとも、(自分ではない)他人の目的のために自分のつとめをすて去ってはならぬ。自分の最高の目的を知って、自分のつとめに専念せよ。 - 無益な語句よりなる詩を百となえるよりも、聞いて心の静まる有益なことばを一つ聞くほうがすぐれている。
- ・悪い友と交わるな。
・劣った卑しい者になじむ人は堕落してしまう。しかし等しい者につき合うひとは実に堕落することはないであろう。すぐれた者に近づく人はすぐれた状態に達する。それ故にこの世では自分よりすぐれた人とつき合え。 - 前にはあったが、そのときには無かった。前には無かったが、そのときはあった。前にも無かったし、のちにも無いであろう。また今も存在しない。
- ・他人の過失を探し求め、つねに他人を見下して思う人は、卑しい性質が増大する。かれは実に真理をみることから遠く隔たっている。
・人々は自我観念にたより、また他人という観念にとらわれている。このことわりを或る人々は知らない。実にかれらはそれを(身に刺さった)矢であるとは見なさない。
・もしもすがたをさらに吟味して見るのであるならば、単にすがたを見るということは無い。またもしも単にすがたを見るのであるならば、すがたをさらに吟味して見るということは無い。ここの人は、単にすがたを見るだけであって、すがたをさらに吟味して見るということが無い。しかし、すがたをさらに吟味して見る人は、つねにすがたを見ることがない。 - ・すべて悪しきことをなさず、善いことを行ない、自己の心を浄めること、-これが仏の教えである。
・まだ善の果報が熟しないあいだは、善人でもわざわいに遭うことがある。しかし善の果報が熟したときには、善人は幸福に遭うのである。 - ・大食いをして、眠りをことみ、夜も昼もころげまわって寝て、まどろんでいる人は、大きな豚のように糧を食べて肥り愚かにも、くりかえし母胎に入って(迷いの生活をつづける)。
・沈黙せる者も非難され、多く語る者も非難され、すこしく語る者も非難される。世に非難されない者はいない。 - ・生きとし生ける者は安楽をもとめている。もしも暴力によって生きものを害するならば、その人は自己の安楽をもとめていても、実は安楽を得ることができない。
・つまらぬ快楽を捨てることによって、広大なる楽しみを見ることができるのであるなら、心ある人は広大な楽しみをのぞんで、つまらぬ快楽を捨てよ。
・他人に従属することはすべて苦しみである。自分が思うがままになし得る主であることはすべて楽しみである。他人と共通のものがあれば、悩まされる。束縛は超え難いものだからである。 - ・心は、捉え難く、軽々とざわめき、欲するがままにおもむく。その心をおさめることは善いことである。心をおさめたならば、安楽をもたらす。
・ものごとは心にもとづき、心を主とし、心のように疾く動く。もしも汚れた心で話したり行動したりするならば、苦しみはその人につき従う。車をひく牛の足跡に車輪がついて行くようなものである。
・心を制することは楽しい。心をまもれ。怠るな。 - ・五蘊=色、受、想、行、識
・情欲、憎しみ、迷妄、慢心、貪り、愛執 → × - 或る修行者・バラモンたちは、迷いの生存のうちに執著していて、互いに異論をいだいて論争する。これらの人々は愚者であり、一方だけしか見ていないからである。