【書籍】仏教の思想3 空の論理<中観>

梶山雄一、上山春平『仏教の思想3 空の論理<中観>』、角川ソフィア文庫、2011年


仏教の思想 3 空の論理<中観> (角川ソフィア文庫)

仏教の思想シリーズの合本版をKindleで入手したので、最初に中観を読んだ。1ブッダ、2アビダルマはすでに紙の本で読んでいた。本書はこれらに比べ第一部はかなり読みにくかった。これまで、何冊か中観やナーガールジュナの本は読んでいたので、まだ何とかついていけたが、初見だとちんぷんかんぷんだったろう。仏教の思想シリーズは仏教学や哲学の大先生方が執筆されているが、人によって(内容によって?)読みやすさが変わってくる。本読の第一部はそういう意味では(私にとっては)高度な内容なので、さらに勉強を重ねて再読してみるのがよいと思われる。

「空とはことばを離れた直観の世界の本質」というのが、ざっくりとしたまとめか。

直観が瞑想によって得られるのであれば、瞑想だけやってればよいというスピリチュアルな話かというととんでもなく、そこに行き着くまでは「ことば」というものをこれでもかと徹底的に否定してかからなければならない。そこには様々な論理学が必要になる。「Pであり、またPではない、PでありかつPではない、PではないしPでないこともない」いわゆる四句否定とか、ディレンマとか、帰謬法、定言的論証、命題の否定、名辞の否定などなど。つまりは世の中を論理的に説明できなければ、その否定である空も直観できないということになるのだろう。

空は縁起、中道、四諦に通づる。空も時代、所により微妙に考え方が違うようだが、今の時代、自分も空を直観できる日が来るだろうか。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク